先日の続きです。
今回のご講演で一番驚いたのは、松永先生の研究で示された、ニキビと菌と皮脂の関係です。
①ニキビ患者とニキビのない人の間に、ニキビ菌の量に有意差が無い
②ニキビ患者とニキビの無い人の間に、皮脂量、遊離脂肪酸共に有意差が無い
③女性のニキビ患者においてのみ、他の群に比べてマラセチアが多い。
ということは・・・
ニキビ肌の方にもニキビの無い方にも同じだけのニキビ菌がいるということは、同じ菌量でも、感染する人と感染しない人といて、その違いは別の要素である。また皮脂量すら関係ないとしたら、ニキビになる人とそうでない人との違いは?
今まで、ニキビの3大原因として ①ニキビ菌 ②皮脂量の増大 ③角質の代謝不全 が挙げられていましたが、この研究結果から消去法で考えると、最大の要因は角質の代謝不全であるということ?
角質の代謝不全により毛漏斗部が閉塞することがニキビの主因ということになるのでしょうか?それに加えて肌バリア機能の低下も菌量によらない容易な感染を引き起こす原因となっていると、私は推測しているのですが、つまりまとめると角質の正常な機能を取り戻すことだけに注力すればニキビは治るんでしょうか?
としたら、ニキビのファーストチョイスは角質に作用する薬剤ということになります。抗菌剤しか保険適応が無かった2008年までの日本のニキビ治療って・・・?
ニキビにおいて抗生剤の意義は低いと言えるのでしょうか。
ただし、女性においてのみマラセチアに対するアプローチを念頭に入れるという必要があるということでしょうか。
今回のご講演は基礎研究が中心で、実際の臨床の手法や薬剤の選択については、これらをふまえて各医師が考える必要があるということでしょう。
臨床経験的には、明らかに抗生剤が効くニキビも多いし、皮脂量も臨床的にはニキビとかなり関与しているとしか思えないのに、それ以外のホルモン作用がより強く関与しているのか…
当院はニキビ治療においては、かなりの実績があり、私自身もかなりの自信をもって治療に当たっているつもりでおりましたが、今回の松永先生のご講演を伺い、まだまだニキビの奥が深いことを痛感させられました。
見寺絢子クリニック
西田美穂
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