近年、美容医療は雑誌の特集や、テレビなどでも盛んに取り上げられ、
一部の人の医療でなく広く一般に普及しつつあります。
海外では、「他の人より少しでも美しく」というような考えでの美容整形が多いようですが、
日本では「いつまでも若々しい姿でありたい」あるいは「醜く年をとりたくない」などの思いから大きな変化ではなく、シミやシワをちょっとだけ取りたいとか、周囲にバレない程度の改善を希望される方の方が多いようです。
そうした思いの中で「プチ」整形として、注射で比較的気軽にシワを改善できるヒアルロン酸治療やボトックス治療なども増加の一途をたどっていますが、それに伴い、トラブルも増える傾向にあります。
先日、美容目的で注入治療を受けられた方が失明した、というニュースが大々的に報道され、使用された製剤が問題視されましたが、我々美容に携わる医師の間では、それは単にその製剤の性質が引き起こした問題だとは、受け止められていません。
その製剤でなくても、同じような事故は起きる可能性があり、それはその医師の単なる技術不足によるものだけとは限らず、充分その治療に習熟した医師でも、リスクをゼロにすることはできません。
ただし、近年、特に注入治療をはじめとした美容医療は、一見簡単そうな施術に見えるため、経験と知識の不十分な医師によって一部、行われていることがあり、それによるトラブルが増加していることも事実です。
公明新聞2016年9月3日より転載 記事コチラ
写真最左)福岡大学副学長☆大慈弥裕之先生☆赤いネクタイがお似合いです。
先日、日本形成外科学会の構成員を中心メンバーとした日本美容外科学会(JSAPS)の百束比古理事長らは、美容医療の健全化のために以下の制度構築を厚労省に要請したそうです。
(1)美容医療に関わる医師の質の担保
(2)美容医療で使用する機器や材料の安全性、有効性の担保
具体的には、今後は、美容医療を行うにはある一定の水準を満たした医師である必要があり、何らかの基準を満たした製剤や機器でないと使用できないというように今後制度化されるかもしれませんが、こうした水準や基準を誰がどう決めて誰が判断するのか・・・実現にはまだ遠いのが現状かも知れません。
そうした現実の中で、美容医療を受けられる際は、「キャンペーン」とか「最安値」とかにつられるのではなく、大切なご自身のお顔や身体を任せられる医師かどうか、どうか厳しくご判断くださいませ。
我々医師は、そうした患者さんの信頼に応えられるよう、日々研鑽を積んでいかねばなりませんね。
勉強と仕事と家事と育児・・・全部するの無理。真っ先に辞めたのは旦那の世話。ごめんね。