「手の年齢は隠せない」とよく言われます。
手に出る加齢性変化としては
①シミが出てくる
②皮膚の弾力が失われ、シワが寄ってくる
③静脈・腱・骨などのスジ・節が目立ってくる
といった問題が挙げられます。
MERZ社 Hands Grading Scale より
これらの問題を予防するためには、
①保湿
②紫外線対策
③洗剤のダメージを避けるため、食器洗いは手袋をする
といった対策がお勧めですが、
では、もう、起きてしまった変化にはどう対処したらよいでしょうか?
まず、シミに対しては
レーザー治療(もしくは光治療)がお勧めです。
ただし、手のシミに関しては、顏のシミの治療よりも難しいよ!とよく患者さんに説明しています。
手のシミのご相談は、進行してから相談されることが多いせいなのか、皮膚の性質のためなのか、過角化(シミの厚みが増した状態)が進んでいることが多く、光治療では力及ばないことや、Qスイッチ付きレーザーでも一度で完全に除去するのが困難であったり、炭酸ガスレーザーではダメージが大きくレーザー痕が色素沈着になったり、治療のさじ加減が大変難しいからです。
また、一旦色素沈着になった場合、その改善には半年から1年以上かかることもあります。
※顏の場合は色素沈着になっても、多くの場合は半年以内には改善が期待できます。
当院では、手のシミに関しては、まずは一つ一つダーモスコープで観察を行い、それぞれに適した治療を病変別にお話しますが、
まずは一番目立つものの除去を光かレーザーで試していただき、その内容にご納得頂けてから、次のシミの治療計画を立てる、というステップで慎重に治療を勧めています。
はたらけど
はたらけど
猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る
石川啄木『一握の砂』
1年くらい前だったでしょうか
手のシミにレーザー治療をしている最中、ゴーグルをしていて寝ていた60代の患者さんから、突然「先生、ありがとねー」と言われました。
「なんがー?」と尋ねると、
「介護しててね、おむつ変えながら、自分の手のシミを見てるとね、どんどん自分が憐れになるんよ。でもね、この前先生に手のシミとってもらって、ふっと手を見たら、シミがなくなっとって、嬉しかったんよ。介護中にしみをとるなんて、贅沢だと思って我慢しとったけど、それでみじめな気持にならんですんで、よしガンバローって思えるから、私、また今日取りに来たんよ。先生、ありがとねー。ここに来るのが楽しみで仕方なかったと」と、彼女の手のしみをるために彼女の手を支えていた、私の手を上から優しくぎゅーっと握ってくださいました。
介護でお忙しい中、貴重な時間を割いてお越しいただき、この治療を受けて良かった、と言ってもらって、本当に嬉しかったです。Hさんには、八女地区の病院でお会いしたきり、ずっと会えてないけど元気にしていらっしやるでしょうか。
医者をやっていて、一番うれしいのは、自分が出来る最大限を尽くし、その結果が患者さんに喜んでいただけること、です。
今日は、手術でホクロを取ったM教授の抜糸を行いましたが 「大成功!」とニコニコしながら帰っていかれるのを見て、大変嬉しかったです。
夜は外傷の急患の方がいらしてバタバタしましたが「ココの病院来て良かったね!」という会話が聞こえ、幸せな気持ちになりました。
自分が幸せになる簡単な方法は、まず周りの人を幸せにすることだそうです。
今日は、疲れたけど、何回も喜びにふれることのできた幸せの多い一日でした。
で、手の若返りは ②注入編
に不定期で続く予定です。(たぶん)
福岡大学博多駅クリニック
西田美穂
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