ヒアルロン酸注入治療は、大変良い治療ではありますが、リスクがゼロではありません。
当院では安全に最大限配慮して、慎重に治療を行っています。
さて、そうした安全対策を考える上で、医師にとって必要な情報を詰め込んだ書籍の第二版が出版されました。
このテキストは第一版から関わっておりますが、
そもそも、この本が出来るキッカケになったのは私が起こした血管トラブルでした。
私が、母のほうれい線にヒアルロン酸注入を行なって数時間後、母の鼻がまだらの紫色に変色をしました。
この症状は循環障害によるもので、ヒアルロン酸を打ったことで血管が圧迫され、鼻の血管に循環障害を起きたと考えられます。
これは約10年ほど前のことで、私自身が自分の技術に最も自信を持っていた時期でした。
自分は勉強もしているし、手技も上手なので、ヒアルロン酸で失敗するワケはない!くらいに思っていたと思います。
きっと、その慢心がトラブルを引き起こしたのでしょう。

幸いなことに、母の鼻は後遺障害を残すことなく改善しましたが、このことで大いに反省した私はこのままではいけない、と海外の文献などをいっぱい読み漁り、せっかくなら他の先生の参考にもなるようにまとめようと、この本のもととなる福岡大学版のヒアルロン酸安全治療マニュアルを作りました。

それが出版社の目に止まって書籍化の話につながりました。

もちろん私など1人の力で成し遂げられるものではなく、
当時の福岡大学形成外科の大慈弥教授のご指導のもと
多くの先生方のご協力を得て2018年に第一版ができた時には感無量でした。
美容医療は本来、人を幸せにするための医療であるにも関わらず、事故が起きてしまうとそうではなくなってしまいます。
こうしたトラブルを少しでも防ぐことができれば、という医師たちの思いで作られた本は羽ばたいて他の言語にも訳されて広がりました。
その後時代も流れ、当時の内容が今では古くなったものもあったことから
今回の第二版が出版される運びとなりました。
第1版の時(2018年)と失明事故対策については、大きく変更され、新たに古山先生が編集に加わられたことで、執筆される先生も増えてさらに内容が充実しています。

この本がヒアルロン酸注入に関わる多くの医師に広がり、安全に治療が行われて多くの人が美容医療の力で幸せになることを心より望んでいます。

開院の時に大慈弥教授にいただいた記念碑

Beauty Tuning Clinic

西田美穂