顔を上げると次は押上だった。スウッと血の気がひいた。押上に電車が止まった。
横浜から羽田空港行に乗ったのはずなのに、なぜ私はここにいるのか。
スカイツリーを見てる場合ではない。
京浜急行を飛び降りると、人混みをかき分けながら来た方向とは逆に向かうホームを足早に探した。
羽田空港行の文字を見つけてホームについた時、電車が来たので、迷わず飛び乗る。
京急線直通 羽田空港行き posted by (C)まさぴー
乗るべき飛行機は18時50分に羽田を発つ。
15分前には保安検査場を通過せねばならぬ。
この電車の羽田到着予定時刻は、18時28分。
なんとかなってくれ。
電車の中 私は走るような気持ちで、祈った。
私 「西田美穂、メロスのように駆けてきますから、待っててください」
夫 「カウンターからグランドに言っておいてくれる、って」
私 「ありがとう、セリヌンティウス」
京浜急行は定刻 28分に羽田に到着。
路行く人を押しのけ、跳ねとばし、ミホスは黒い風のように走った。
横浜の学会に参加した後の話をノンフィクションでお送りしました。
昔から、地理と歴史は大の苦手でした。
今でも、鳥栖と基山の位置関係、博多と北九州のどっちが上りなのか真剣に悩まないと分かりません。
東京にはのべ4年住みましたが、山手線の内回りと外回りは未ださっぱり理解できんとです。
スマホのグーグルマップの案内する方向がわからず、歩いても歩いても近づきません。
地図をプリントアウトするようにしましたが、進行方向が上じゃないと、地図は読めんとです。
いつも道に迷うので、待ち合わせ時間よりだいぶ早めに家を出ても、間に合いません。
東京で私を見かけた方は、どうかお声かけ、お導きください。
大抵の場合、道に迷っているか、人生に迷っているか、そのどちらも見失っているか、です。
ヒロシです。間違った。ミホスです。
西田美穂