こんにちは。Beauty Tuning Clinic の西田美穂です。

先日、3月26日から3月29日までモナコで開催された「AMWC(国際抗加齢美容医療学会)」に参加してきました。世界中から皮膚科医や美容外科医が集まる、この分野では最大規模の国際学会のひとつです。

3日間、世界のトップクラスの医師たちの発表を聞きながら、感じたことや気づいたことを3つのポイントでまとめます。
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AMWCモナコでの3つの気づき

①GLP-1ダイエットが顔に与える影響
② 美容医療はマルチモーダルがキーワード
③ボトックスはしわ治療から印象改善へ

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①GLP-1ダイエットが顔に与える影響

最近、注射で体重を減らす「GLP-1受容体作動薬」(糖尿病治療薬)を使ったダイエットが広まっています。日本でも急速に普及していますが、今回の学会では、これが顔の見た目に与える影響が、世界的な問題として複数のセッションで取り上げられていました。

体重が大きく減ると、顔のふっくらとした脂肪も一緒に落ちてしまいます。その結果、急速なたるみが生じ、「やつれて見える」「老けて見える」という変化が起こりやすくなるのです。さらに、GLP-1には皮膚の土台となる組織に直接影響する可能性もあり、単純に「痩せたら顔を整えればいい」という話ではないことが研究でも示されつつあります。

こうした問題を防ぐには、痩せてから対処するのではなく、ダイエットを始める前か始めた早い段階から、美容医療が介入し、肌や顔の状態を守る治療を並行して行うことが重要ということが盛んに言われていました。

私見ですが、そもそも私は糖尿病治療薬を健康な方が使うことや、糖尿病薬の適切な使用について知見の乏しい医師が患者に用いることに賛同できないため、当院では取り扱いを行っていません。

また、声を大にして言いたいことは40代以上の女性にとって「顔の脂肪は財産です!」年齢を重ねても美しいと言われる女優さん(例 石田ゆり子さん、飯島直子さん、薬師丸ひろ子さん、吉永小百合さん)は皆さん少し顔がふっくらされてる方だと思いませんか?

また、若い方にも申し上げたいのは、10代、20代で栄養が不足することは将来の骨粗鬆症にも繋がります。顔の土台を支えるのは骨です。過剰なダイエットは、将来の顔のたるみを招きます。今はふっくらした頬が嫌で、脂肪吸引やダイエットしたくなるかもしれませんが、オバさんになっても綺麗でいるためには、栄養はちゃんと摂り、頬の脂肪を過剰に嫌わないであげてください。財産です。

あ、モナコの話やった…

GLP1ダイエットでの見た目の変化に対する美容医療についてご講演を終えられたばかりのLIGIA先生と❤️昨年は、ボトックスの研修でご一緒しました。

②美容医療はマルチモーダルがキーワード

今回の学会を通じて、世界のトップ医師たちが繰り返し使っていた言葉が「マルチモーダル(複数の治療を組み合わせる)」です。

ひとつの治療だけで何でも解決しようとするのではなく、ボトックス・ヒアルロン酸・肌を再生させる治療・レーザーなど、それぞれの「得意なこと」を明確にしながら組み合わせて設計する。そしてその治療が目指すのは、「理想の顔に近づける」ことではなく、「その人らしい調和を引き出すこと(ハーモニー)」——これが今の世界標準になりつつあります。

この考え方は、当院が開業当初から大切にしてきたことでもあります。

また、ヒアルロン酸注入については、「大量注入の時代は終わった」という言葉も、多くの演者から聞かれました。ヒアルロン酸をたっぷり入れて劇的に変える——そういった治療への世界的な反省があり、少量・精密・自然な変化へと向かっていることも、確認できました。

ただし、「ヒアルロン酸=悪」というわけではなく、マルチモーダルに治療を行うなかで、ヒアルロン酸にしか出来ない重要な役割(輪郭形成や、ボリューム増加、特殊なポイントのリフトアップなど)もあるため、注入の目的を明確にして適切な量を的確に用いることは抗加齢美容医療において重要だと思います。

※本文とは関係ありません。秋葉原スキンクリニックの堀内祐紀先生とチーズ入刀写真。堀内先生のシステアミンについてのご発表(もたろん英語)は素晴らしかったです。

③ボトックスはしわ治療から印象改善へ

今回の学会では、ボトックスの大きな考え方の転換を感じました。

ボトックスは今まで「しわを取る治療」として語られてきました。でも、それは本質のほんの一部でしかありません。

顔には引き上げる筋肉と引き下げる筋肉がバランスを保っています。ボトックスでそのバランスを整えることで、「表情が明るく見える」「怒っているように見えなくなった」「笑顔がより自然になった」といった印象の変化が生まれます。しわが減ること以上に、この印象の変化こそがボトックスの本質的な価値だと、私は考えています。

そしてもうひとつ大切なのは、「どの動きを止めて、どの動きを守るか」を個別に設計すること。

たとえば眉間のしわ。「怒って見える」と気にされる方は多いのですが、眉間の筋肉は「断固さ」「集中」「決意」といった表情も担っています。弁護士の方や交渉の多いお仕事をされている方には、むしろその動きが仕事上の大切なシグナルになっていることもある。一律に止めるのではなく、その方の表情をよく観察しながら設計することが重要です。

目尻のしわも同じです。笑ったときの目尻のしわは、「温かみのある笑顔」として相手に好印象を与えることも多い。私自身、45歳頃から目尻にはあまりボトックスを打たなくなりました。しわがあることで、笑顔がより自然で豊かに見える。そう感じているからです。

「しわ=消すべきもの」ではなく、その方の表情の魅力になっているしわもある。当院ではそういう視点を大切にしています。

このように、ボトックスは単なるシワ取り注射から印象改善を行うツールへ、定型通りの注射から個別の施術へ、と世界的にも変化してきたことをヒシヒシと感じました。


まとめ

3日間の学会で感じたことをひとことで言うなら、「少しずつ・丁寧に・長く続けていく美容医療が、世界の標準になりつつある」ということでした。

加齢による変化を「作り変える」のではなく、些細な不調を丁寧に調律することで、その人の個性や魅力をより輝かせ、豊かに年齢を重ねるためのお手伝いをする——それが当院のコンセプトです。

世界の流れと同じ方向を向いていることを確認しながら、これからも誠心誠意取り組んでまいります。

西田美穂