先日、東京にて開催されたAMWC Japan(国際抗加齢美容医療学会) × アラガン・エステティクス共催セッション
「ボツリヌストキシンのサイエンスと実践」にて、座長(司会みたいなもん)およびスピーカー(✖️2演題)として登壇いたしました。

このセッションのテーマは
ボツリヌストキシンという蛋白質を、科学的に理解し、臨床に活かすこと。
こうした美容医療の学会では珍しく、基礎研究をされている先生からのお話を聞ける貴重な機会でした。

🧬 まずはボツリヌストキシンの分子のお勉強から

東京農業大学の相根教授からは、ボツリヌストキシン複合体を構成する蛋白質(NAPs)の役割についてのお話についてのお話を詳しく伺いました。

このNAPsは、余計な付着物ではなく、毒素の安定性を守るために重要な構造であり、特に注射前のボツリヌス製剤の安静性を守るためには重要な役割を担っています。今更ながら、ボツリヌストキシンという蛋白質の構造とその意味について深く考えさせられる貴重な時間でした。

🧬 科学と臨床をつなぐ

私の講演では、相根教授による分子構造の研究を踏まえ、その知見を臨床的な視点から解釈しました。

ボツリヌストキシンは、非常に繊細な蛋白質で、保存状態や調整時の取り扱いによって構造が変化するため、正しい取り扱いが必要です。また、他剤との混合によってpHが変わると構造が変化するだけでなく、活性にも影響がある可能性もあるため、むやみに色々な製剤と混合することは推奨できません。

今回は、国際学会の日本開催だったため、スライドが英語ですが、講演は日本語で行いました。参加者は海外の方と日本の方と半々くらいだったかな?

😊 表情筋の協調と美しい笑顔

続いて私は、ボツリヌストキシンの臨床応用として「表情筋の協調と美しい笑顔」について講演しました。

人間の表情筋は、随意筋でありながら個別には動かしにくく、互いに協調し、バランスを取りながら
複雑な感情を表現しています。

たとえば、口角の位置は、大頬骨筋の引き上げと口角下制筋の引き下げ、両者の“綱引き”のバランスが笑顔の印象を決めます。

私はこの「筋肉のバランスの調律(Tuning)」を重視しています。表情筋の協調関係を理解し、“どの筋肉をどの程度弱め、どの筋肉を残すか”をデザインすることで、自然で美しい笑顔を引き出すことができます。

「ボツリヌストキシンは動きを止める薬ではなく、動きを整えて(TUNINGして)、美しい表情を引き出す治療である。」と私は考えています。

🍑佐藤もも子先生の実践的なお話し
私の講演の後は、佐藤もも子先生のご講演でした。もも子先生は大阪でご開業されており、適切なアセスメントと繊細な治療でとっても人気の先生です。今回も、綺麗な笑顔の症例を提示され、ボトックス治療の可能性に満ちた素晴らしい御講演でした。また、ただ良い結果を示すだけでなく、治療の難しいポイントやそれを補うための超音波による画像診断の重要性なども提示されており、聞いている先生方には非常に実践的な内容だったのではないかと思います。私自身もとても勉強になりました。

✨ 毒素を理解するということ

ボツリヌストキシンは、毒素であり、同時に薬でもあります。
自然が設計した緻密な蛋白質であるその“毒”を安全に、美に変えるためには、
構造を知り、働きを理解し、そして適切に取り扱うことが重要です。

「ボツリヌストキシンのサイエンスから実践まで」

今回のAMWCで、改めてボツリヌストキシンを深く知る機会となり、大変貴重な学びとなりました。
これを企画してくださったアラガンメディカルアフェアーズのチームの皆さんにも感謝です。

Beauty Tuning Clinic

西田美穂

家に帰ったら猫が癒してくれました。