
映画「JOKER」に心震えて気持ちが落ち着かない。
と言っても、映画の批評や感想を述べたいわけではなく、「JOKER」と表情の話をしたいと思う。
なぜなら 「JOKER」でずっと眉間にシワが寄りっ放しのまま、泣くように笑うホアキン・フェニックスを見て、なんか言わずにはおれんからである。
(映画の内容には触れないのでネタバレしません。まだ「JOKER」を見てなくても安心して続きを読んでくださいね。)
ホアキン・フェニックスはこの映画の中で、何度も笑う。
のっけから笑い続けるのだが、その笑い方は泣いているようにも見える。音声が無ければ泣いているように見えるのかもしれない。笑っているのか、泣いているのか、どちらにも解釈できるような表情の揺らぎ。その内面が掴みがたく不気味で、見ているものを不安にさせる。
この不安の引き出し方は「能」に似ている。
全く表情が動かないことを「能面のような」と表現するが、なぜそれが表情豊かなホアキン・フェニックスと似ているのか。画像転載)能面wikipediaよりコチラ
日本の伝統芸能である「能」では、表情の動かない「面(おもて)」を用いて感情を表現する。動かない「面」を上に向けたり下に向けたりすることで、口角が上がったように見えたり、目尻が下がったように見えたりするように「面」は造られている。
例えば、「面」を下に傾かせることは、能では「曇らす」と言われ 悲しみを表すのであるが、能面を下に傾かせると観客には口角が上がったように見えるのである。口角を上げるというのは、通常「笑顔」の表現である。
つまり、「能」において、表現しようとする感情と表情は一致しない。
画像転載)名大と東大、「能面」が多様な表情に見えるのは「情動キメラ」が理由と解明
この記事によると
情動情報の提示を複雑にして、見る側の感情を揺さぶることが、今の能面を完成させた世阿弥の意図だったのではないかと、研究グループは推測する。
このように、能は同じ「面」を使って 笑っているようにも泣いているようにも表現する芸能である。「面」には、真逆の感情を同時に表して 見るものの感情を揺さぶる仕掛けがある。
写真転載)映画「ジョーカー」HPコチラ
ホアキン・フェニックスの泣いているように見える笑い方、笑っているようで泣いている道化師のメイクは、常に見るものの感情を揺さぶり続ける。
口角を上げて大笑いしながら、眉間には常にシワが寄っている。
それは「能」の般若にも通じる。般若は眉間にシワを寄せながら、口角をこれでもか、と上げている。
能面は複雑で「神秘的」「幽玄」な芸能である。
ホアキン・フェニックスの「JOKER」は金獅子賞を獲った。
眉間にシワを寄せながら笑うことが望ましいのは、この二つに限る。
私は断言する。
あなたの笑顔に眉間のシワは要らない。
それは、見るものに不安を与える。
日常には「幽玄」も「金獅子賞」も要らない。
全てのレディーに告ぐ。
日常には笑顔を!眉間にはボトックスを!
西田美穂
「JOKER」の余韻が収まらない・・・
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